2018年度の活動

(1)被災資料のレスキュー
 2018年7月5日から7日にかけての大雨により発生した、甚大な水害・土砂災害(西日本豪雨災害)により被災した歴史資料のレスキュー活動を行った。レスキューし、事務局の置かれる岡山大学などに持ち帰った被災資料は、6つの資料群、約1000点にのぼる。なお、被災資料の一時保管には、岡山県立記録資料館の大型冷蔵庫など県施設を利用した。

(2)被災資料の整理修復活動
 2018年10月中旬からは週 1 回程度岡山大学で、レスキューした被災資料の洗浄と乾燥を進めている。実施回数は、2019年6月末時点で計21回にのぼる。その作業には毎回5名程度県内外からボランティアのみなさんにご参加いただいている。
 なお、ボランティアを募って行っている作業以外にも、事務局メンバーや岡山大学日本史研究室の院生や学生により、吸水乾燥のために使用しているキッチンペーパーの交換などの作業も行っている。
 また、2018年10月中旬より2019年2月初旬まで、ノートルダム清心女子大学において、本会副代表を務める藤實久美子氏を中心に、「大切なもの」無償応急処置出来る事を出来るだけチームの指導のもと、被災した母子手帳・日記帳・写真などの応急処置活動を行った。

(3)運営委員会
 2018年7月以降、計10回運営委員会を開催した。議題は、被災資料への対応についての協議や、岡山大学やノートルダム清心女子大学での活動(先述)の進捗状況の報告などである。またこの場では、岡山県立記録資料館による真備図書館公文書修復活動、岡山県立美術館による「大切なもの」修復活動、倉敷市歴史資料整備室による倉敷市被災公文書修復活動などについての情報共有を図った。
 なお、会場は岡山県立記録資料館やノートルダム清心女子大学を使用した。

(4)規約の制定・会員制への移行
 これまで本会は予防型の組織として活動を続けてきたが、災害発生を受けて実践型の組織に移行するにあたり、体制強化のために2018年10月に規約を制定した。
 規約の第4条では、これまで明確ではなかった会員等についての規定を設け、会員とサポート会員からなる会員制へと移行した。

(5)広報
 2018年7月にはTwitterアカウント(https://twitter.com/okayamasiryonet)、2019年4月にはウェブサイト(http://okayamasiryonet.s1008.xrea.com/)を開設し、活動の現状についての告知を行っている。また2019年3月には、ニュースレターを発刊し、今後年2回程度刊行(ウェブ配信)を予定している。

(6)さまざまな組織との連携
 これまで同様、全国に20以上ある史料ネットとの連携を進めた。その一環として、2018年11月、新潟県で開催された第5回全国史料ネット研究交流集会に参加し、情報交換・交流を図った。また以前より加盟している岡山県文化財等救済ネットワークの一員として、県内の文化財関係者との連携の維持拡大を図った。その一環として2019年2月に開催された会議に参加した。

(7)寄付・助成
 西日本豪雨災害発生後、寄付の呼びかけを行い、総額○○万○○○○円の寄付金をいただいた。(2019年〇月〇日時点)。なお、歴史資料ネットワークを通じていただいた寄付金もある。
 また本会の「2018 年 7 月豪雨災害被災地域の文化財修復活動」は、芸術・文化 による災害復興支援ファンド(GBFund)より、助成金の採択を受けた。
 これらの寄付金や助成金は、レスキューに必要な物資の購入や被災資料修復のための費用などに充てている。

2018年10月15日の修復作業、於:岡山大学