2020年度動の活動

(1)被災資料の整理や調査活動
 コロナ禍のため、文書整理のためのボランティアを広く集めることが困難であり、岡山大学の学生の協力を得ながら実施した。民間所在資料目録の作成については、岡山大学日本史研究室の大学院生の協力も得ながら、旧備前国分と旧美作国分の作成を行った。2019年11月に歴史資料ネットワーク(神戸市)の仲介により受け入れたY家文書(29点)については、整理を完了し返却を行った。2020年11月にN家の襖下張り14面分の寄贈を受け、簡易な保存措置を施した。来年度以降、本格的に整理を進めていく予定である。また、2021年3月に岡山県立記録資料館を経由してH家文書追加分木箱1を受け入れ保存処置を講じた。ボランティア作業活動再開後に整理等を行う予定である。

(2)災害対応
 2020年7月17日付で九州方面の豪雨にともなう「被災歴史資料レスキュー活動への支援体制について」資料保全活動に必要な消耗品提供の用意がある旨、情報提供を行った。

(3)組織と運営
1.会員・サポート会員
 2021年7月12日時点で、会員23名・サポート会員は106名、計129名である。2020年7月時点に比べ、4名増加した。

2.ニュースレター
 (5)記載のとおり、第4号・第5号を発行した。県内外の協力者・協力機関に送付するとともに、ウェブサイトにも掲載した。

3.ウェブサイト・SNS
 ウェブサイトでは会の活動や岡山県内の催し物などを中心とした情報発信を心がけた結果、2020年7月1日から2021年6月30日時点でのウェブサイトのページビューは6,412となった。2021年7月12日時点のtwitterのフォロワー数は919(2020年7月17日比124増)、facebookページのファン(「いいね」の数)は223(同比88増)、フォロワー数は240となっている。

4.他組織との連携
 これまでと同様、全国に20以上ある史料ネットとの連携を進めた。その一環として、2021年2月に宮城県を中継拠点として開催された第7回全国史料ネット研究交流集会に参加し、情報交換を図った。以前より加盟している岡山県文化財等救済ネットワークの一員として、県内の文化財関係者との連携の維持拡大を図った。2020年11月に開催された研修会では今津代表が講師をつとめ、2021年1月の書面会議に参加した。「災害支援ネットワークおかやま」には、被災家屋部会の活動に参加し、水害からの復旧ロードマップなどの団体活動状況についての情報共有につとめた。また、2020年10月3日にオンラインで開催された「ぼうさい国体」における、天野真志(国立歴史民俗博物館)報告「歴史文化の災害対策 —「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業」の紹介—」に協力団体として活動内容に関する資料を提供した。

5.寄付・助成
 引きつづき寄附の呼びかけを行い、計10件75,401円の寄附金をいただいた(2020年7月1日~2021年6月30日)。企業メセナ協議会「芸術・文化による災害復興支援ファンド」(GBFund)の助成期間は2021年3月末をもって終了した。

(4)研究報告・講演
・ 2020.10.14 今津勝紀「資料の防災・被災資料の救出 -体制づくりと現状-」(令和元年度福井県文書館資料保存研修会「資料の防災・被災資料の救出」 於:TEAMSオンライン)
・ 2020.11.11 今津勝紀「西日本豪雨における岡山史料ネットの対応」(令和2年度岡山
県文化財等救済ネットワーク研修会 於:岡山県生涯学習センター 文化財担当者等50
名)
・ 2020.11.21 東野将伸「江戸時代の社会を古文書から読み解く」(令和2年度高校生のための大学講座 於:岡山大学〈オンライン〉)
・ 2021.2.20 上村和史「歴史資料保全のための重層的なネットワーク構築」(第7回全国史料ネット研究交流集会 於:zoom)
・ 2021.2.21 上村和史「2020年度の岡山史料ネットの活動」 (第7回全国史料ネット研究交流集会 於:zoom)
・ 2020.7.11 松岡弘之「災害資料の保存について―公文書を中心に―」(学術野営2020in奥州市 主催者国立歴史民俗博物館(「総合資料学の創成」事業) 於:google meetオンライン)

(5)出版および論文などの掲載

『岡山史料ネットニュースレター』第4号、2020年9月30日
・上村和史「活動報告(2020年2月~2020年8月)
・ 内池英樹「岡山県文化財保存活用大綱について」

『岡山史料ネットニュースレター』第5号、2021年3月31日
・ 上村和史「活動報告(2020年9月~2021年2月)」
・ 政次加奈子「『第7回 全国史料ネット研究交流集会』参加記」
・ 久野洋「明治26年水害と野﨑家」

東野将伸「岡山史料ネットによる水損史料レスキュー・クリーニング作業の現状」(神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター編『LINK:地域・大学・文化』12、 2020.11)doi

今津勝紀「西日本豪雨での岡山史料ネットの取り組み」(西日本豪雨災害「残す。」編集チーム編『「残す。」西日本豪雨災害 私たちは真備に何を残そうとしたのか?』吉備人出版、2021.2)

東野将伸「岡山史料ネットのレスキュー史料とその整理・活用」(西日本豪雨災害「残
す。」編集チーム編『「残す。」西日本豪雨災害 私たちは真備に何を残そうとしたの
か?
』吉備人出版、2021.2)

役員
《運営委員》浅利尚民・飯島章仁・今津勝紀・上村和史・内池英樹・杉山一雄・鈴木琢郎・徳永誓子・東野将伸・久野洋・福冨幸・松岡弘之・村井良介・山下香織・山下洋
《監査委員》定兼学・清家章

岡山史料ネット事務局(2020年2月)