2021年度の活動

(1)被災資料の整理や調査活動
 引き続きコロナ禍のため、ボランティアを広く集めることが困難な状況が続いているが、2021年12月以降岡山大学学生を中心にH家文書のクリーニング作業を再開・継続した。民間所在資料目録の作成については、岡山大学日本史研究室の大学院生の協力を得て、旧美作国分の作成を行った。2020年11月に寄贈をうけたN家の襖下張り文書は、7面分の剥離作業を終えた。T家屏風下張り文書(全403点)は目録作成を完了し、真備町に関係する資料約20点の撮影を行った。I家文書は目録作成を継続しており、来年度中に倉敷市と返還等について協議を行う見込みである。

(2)提言活動
 2021年11月に倉敷市が実施した地域防災計画修正案に関する意見募集にあたって、災害時における行政文書や未指定文化財などさまざまな地域歴史文化遺産のレスキューの実施体制整備を要望する意見を提出した。

(3)災害対応
 2021年度に災害対応はなかった。

(4)組織と運営
会員・サポート会員
 2022年7月13日時点で、会員23名・サポート会員は115名、計138名である。2021年7月時点に比べ、9名増加した。

ニュースレター
 (5)記載のとおり、第6号・第7号を発行した。県内外の協力者・協力機関に送付するとともに、ウェブサイトにも掲載した。

ウェブサイト・SNS
 ウェブサイトでは会の活動や岡山県内の催し物、加えてtwitterでは西日本豪雨に関する諸動向を中心とした情報発信を心がけているが、2021年7月1日から2022年6月30日時点でのウェブサイトのページビューは5,551(昨年比△861)となった。2022年7月13日時点のtwitterのフォロワー数は919(2021年7月12日比124増)、facebookページのファン(「いいね」の数)は340(同比117増)となった。

他組織との連携
 これまでと同様、全国に20以上ある史料ネットとの連携を進めた。その一環として、2022年2月に松江市を中継拠点として開催された第8回全国史料ネット研究交流集会に参加し、情報交換を図った。以前より加盟している岡山県文化財等救済ネットワークの一員として、県内の文化財関係者との連携の維持拡大を図った。2022年1月の研修会(講師国立文化財機構文化財防災センター髙妻洋成氏ほか)、および3月の運営会議に参加し、県の災害対応に関する初動マニュアルの策定に向けた意見交換などを行った。また2021年8月には岡山市災害ボランティアネットワーク連絡会議に参加し、加盟団体と災害時の支援内容について意見交換した。

寄付・助成
引きつづき寄附の呼びかけを行い、計7件35,000円の寄附金をいただいた(2021年7月1日~2022年6月30日)。2022年1月には(公財)マルセンスポーツ・文化振興財団(岡山市)より、マルセン文化賞を受賞し副賞300,000円をいただいた。

(5)研究報告・講演
2021.7.21 今津勝紀「日本史研究と地域史研究のはざま―生存の「関係・空間」の歴史学」(岡山大学文明動態学研究所マンスリーセミナー 於:オンラインyoutube
2021.11.18 今津勝紀「資料の防災・被災資料の救出-予防から実践へ、岡山史料ネットの経験-」( 令和3年度富山県歴史資料保存利用機関連絡協議会(富史料協)実務担当者研修会 於:富山県公文書館
2022.2.19 定兼学「自然災害危機、制度的危機、人的自然危機~岡山の20年~」(第8回全国史料ネット研究交流集会・山陰 於:オンライン)
2022.2.19-20 岡山史料ネット「2021年度岡山史料ネットの活動について」(第8回全国史料ネット研究交流集会・山陰、ポスター発表、於:オンライン)

(6)出版および論文などの掲載
『岡山史料ネットニュースレター』第6号、2021年9月30日
・松岡弘之「活動報告(2021年3月~2021年8月)
・藤井広美「真備図書館の被災と再建」(2021年度活動報告会特集)
・隈元恒「災害に対して図書館の出来ること」(同上)
・村上岳「『西日本豪雨と図書館』コメント」(同上)
・松田拓磨「【書評】『残す。西日本豪雨 私たちは真備に何を残そうとしたのか』」

『岡山史料ネットニュースレター』第7号、2022年3月31日
・松岡弘之「活動報告(2021年9月~2022年2月)」
・蛭田咲輝「修復活動参加記」
・上村和史「第8回全国史料ネット研究交流集会に参加して」
・山下香織「レスキュー史料から(2)」

今津勝紀「「生命のいとなみ」を問う―リプライにかえて―」(『歴史科学』247、2021.10)
東野将伸「岡山史料ネットの取り組みと今後の課題」(『歴史評論』859、2021.10)
東野将伸「セスキ炭酸ソーダを用いた汚損資料の洗浄とその効果―岡山史料ネットでの実践から―」(歴史資料ネットワーク(兵庫県)『NewsLetter』96、2021.11)
松岡弘之「公文書」(天野真志・後藤真編『地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧』文学通信、2022.4)
松岡弘之「岡山史料ネット」(天野真志・後藤真編『地域歴史文化継承ガイドブック 付・全国資料ネット総覧』文学通信、2022.4)

役員
《運営委員》浅利尚民・飯島章仁・今津勝紀・上村和史・内池英樹・杉山一雄・鈴木琢郎・德永誓子・東野将伸・久野洋・福冨幸・松岡弘之・村井良介・山下香織・山下洋
《監査委員》定兼学・清家章

クリーニング作業の様子(2021年12月)