2024年度の活動

(1)被災資料の整理や調査活動
 西日本豪雨の際にレスキューした資料7群のうち5群は2023年度までに返却しており、残る2群について以下のような作業を行った。
 H家文書は修復を終えていない扇(7点)のクリーニングを終え、修復が完了した。今後、調査完了分とあわせて目録を完成させる。2020年度に目録作成を終えていたM家文書については、撮影作業を進めた。
 なお、高梁市歴史美術館の令和7年度特別展「高梁市発足20周年記念 備中神楽と西林国橋」(会期2025年2月1日~5月12日)において、これまで修復・調査を進めてきたH家文書が展示されることとなり、保管中の史料14点を貸し出すとともに、岡山史料ネットとして後援した。
 そのほか、西日本豪雨の後に岡山史料ネットに寄贈されたF家文書については、昨年7月からボランティア作業として下張り文書の剥がし取りに着手したが、今年度は2024年9月から6月にかけて7回にわたって実施し、のべ18名が参加した。
 民間所在資料目録の作成については、2024年度の進捗はない。

(2)災害対応
2024年度は災害対応を実施しなかった。

(3)組織と運営
会員・サポート会員
2025年7月7日時点で、会員24名・サポート会員は147名、計171名である。2024年7月時点に比べ、10名増加した。

ニュースレター
(5)記載のとおり、第12号・第13号を発行した。資料所蔵者および県内協力機関に送付するとともに、ウェブサイトにも掲載した。

事務局体制
岡山大学文明動態学研究所実験棟を拠点に活動を行っている。オンラインによる委員会を1回開催したほか、適宜メールによる審議を行った。

ウェブサイト・SNS
ウェブサイトとフェイスブック・Xで会の活動について情報発信を継続した。2024年7月1日から2025年6月30日時点でのウェブサイトのページビューは3,985(昨年比17増)であり、2025年7月7日時点のXのフォロワー数は1,212(2024年7月4日比21増)、facebookページのファン(「いいね」の数)は654 (同比70増)となった。

他組織との連携
(1)記載のように、高梁市歴史美術館の特別展「高梁市発足20周年記念 備中神楽と西林国橋」を後援した。前年度と同様、全国に20以上ある史料ネットとの連携を進めた。その一環として、2025年1月に神戸大学で開催された第11回全国史料ネット研究交流集会in神戸に参加し、情報交換を図った。以前より加盟している岡山県文化財等救済ネットワークの一員として、県内の文化財関係者との連携の維持拡大に努めた。2024年11月の研修会ではワークショップに講師として出講し、および2025年2月の運営会議に参加した。また2024年7月には岡山市災害ボランティアネットワーク連絡会議が主催する「災害ボランティア展」でポスター展示を行った。

寄付・助成
引きつづき寄附の呼びかけを行い、2024年7月1日から2025年6月30日にかけて計5件60,148円の寄附をいただいた。

(4)研究報告・講演
2024.11.17 久野洋・東野将伸「「特集 災害・文明と地域社会」『文明動態学』Vol.3を読む」第25回災害文化と地域社会史研究会、オンライン
2024.11.27 松岡弘之「平成30年7月豪雨災害により被災した史料の救済」令和6年度岡山県文化財等救済ネットワーク研修会、岡山県文化財課主催、於・岡山県古代吉備文化財センター 
2025.1.12 岡山史料ネット(文責・松岡弘之)「2024年度の岡山史料ネットの活動について」第11回全国史料ネット研究交流集会in神戸、於・神戸大学統合研究拠点コンベンションホール
2025.1.31 今津勝紀「月の輪古墳の発掘運動―人が過去を問うとき―」海洋総合知オンライン・シンポジウム―海洋文化遺産と市民科学、海洋文化遺産プロジェクト、オンライン
2025.2.16 今津勝紀「現代歴史学の可能性―月の輪の経験に学ぶ―」考古学研究会岡山例会第24 回シンポジウム、於・岡山大学
2025.4.12 室山京子「土師家文書でたどる備中国川上郡福地村の神社と人びと;西林国橋と兄・淡路」令和7年特別展「高梁市発足20 周年記念 備中神楽と西林国橋」関連講演会、於・高梁市歴史美術館

(5)出版および論文などの掲載
『岡山史料ネットニュースレター』第12号、2024年9月30日
松岡弘之「活動報告(2024年3月~2024年8月)
福井圭一・森田靖(真備写真洗浄あらいぐま@岡山)「「思い出の写真」を残す ―真備から能登へ―」(2024年度活動報告会)
友次勇登「参加記」(2024年度活動報告会)
松岡弘之「富岡家の屏風下張り文書を返却しました」
『岡山史料ネットニュースレター』第13号、2025年3月31日
松岡弘之「活動報告(2024年9月~2025年2月)」
上村和史(高梁市教育委員会)「高梁市歴史美術館特別展「高梁市発足20周年記念 備中神楽と西林国橋」の開催にあたって」
中村暁子(和気町歴史民俗資料館)「岡山県文化財等救済ネットワーク研修会 参加記」
横田明日香「第10回 全国史料ネット研究交流集会in神戸 参加記」
事務局「真言宗アシタ会様からご寄附をいただきました」

今津勝紀「日本古代の飢疫と気象」『季刊考古学』 (168) 、 2024年7月
今津勝紀「古墳時代中後期の吉備の人口変動」『季刊考古学』 (168) 、 2024年7月

(6)報道
2024.8.14 KCTニュース「真備町で浸水 江戸時代の屏風 専門家の修復終え持ち主に返却」(倉敷ケーブルテレビ)

2024年度役員
《運営委員》
飯島章仁・今津勝紀・上村和史・内池英樹・杉山一雄・鈴木琢郎・德永誓子・東野将伸・久野洋・平田良行・福冨幸・松岡弘之・村井良介・山下香織
《監査委員》
清家章・山下洋
(敬称略、五十音順)

F家文書の整理作業(2024年10月)