2024年9月からボランティアのみなさんと取り組んでいる、F家文書のふすま下張りはがし作業ですが、どういった作業が行われているかのイメージをもっていただればということで、途中経過を随時報告していこうと思います。ぼちぼち進めますので、気長にご覧いただけたら…。
準備作業
剥がしとった文書を表装などをする予定はなく、文字が確認できれば良いと考えていますが、スケッチや写真などで記録はとっていこうと考えています。以下の文献を参考に手順を考えました。
・今津勝紀ほか編「岡山史料ネット2」→2006年12月3日に岡山史料ネットでふすま下張りはがしに関するセミナーを行った際の記録です。スケッチ作成のためのひな形(エクセル)も掲載されています。(岡山大学今津勝紀さんウェブサイト掲載PDF)
・松下正和「襖下張り文書の保全と活用」(『地域史研究』(尼崎市立地域研究史料館)114号、2014年)J-STAGE
・濵室かの子・吉原大志「播磨国福本藩関係ふすま下張り文書について」(『兵庫県立歴史博物館紀要 塵界』33号、2022年3月)PDF
・西向宏介・下向井祐子「広島県立文書館におけるボランティア活動について」(『広島県立文書館紀要』17、2024年3月)PDF→館でとりくんでおられるボランティア作業について体系的にまとめられており、下張りはがしの作業のようすも勉強できます。
1回目 2024年7月17日
初めて実施。5名の方が参加して下さいました。2層目まで剥離しました。下張り文書はまだ全面に張られているわけではなく、上側の一部分を少しずつ剥がしています。スケッチを描くのが難しい…。
2回目2024年9月18日
まだ全体に張られた層にはいたっていません。今回は3~5層目までを剥離しました。3名の方が参加されました。5層目からはほぼ完全なかたちの借用証文が!
3回目:2024年10月15日
今回は6層目から13層目まで剥離しました。糊がさほど強くなく、特に霧吹きで湿らさずともペリペリとはがすことができたところもありました。もっと手早くスケッチがとれれば良いのですが、まだまだ熟練が必要そうです。14層目に新田の絵図とおぼしきものがでてきたので、次回以降剥がし取るのが楽しみです。4名の方が参加されました。
4回目:2024年11月5日
今回は14層目から20層目の途中まで剥がし取りました。前回ご紹介した絵図は15層目とみなして剥がし取りました。倉敷のもののようです。なぜ岡山の民家の下張りから現れたのか…。ふすまの原型がなくなり、だいぶ終わりがみえてきた、というところでしょうか。4名の方が参加されました。
5回目:2024年12月11日
今回は21層目から22層目までを剥がし取りました。糊がきつい部分が多かったのですが、明治初期の入会に関するものと思われる文書が比較的きれいな状態で確認できました。1名の方が参加されました。本日で今年の作業は終了です!ありがとうございました。
6回目:2025年1月29日
前回に引き続き、23層目・24層目と剥がしたところで、全面に1枚の新聞紙が貼られた層にたどり着きました。これを上から剥がすことが難しそうだったので、ここでうらがえして作業を進めることにしました。裏返したところを「裏0層」として表面の薄く貼られた白紙を取り、そこで現れた和本の貼り継がれた層を「裏1層」として剥離を進めました(※正しい進め方ではないと思います)。4名の方が参加されました。2・3月はお休みして4月に再開したいと思います。
24層
裏0層